メーカー各社のプレスリリースから、予防安全・運転支援(ADAS/自動運転)の 新しいシステム・装備 を拾う月次連載の第1号です。規制・アセスメントの動きは週次ニュースで扱い、本連載は 市販車・量産装備の動き に焦点を当てます。事実関係は各社の公表情報で確認し、原文・図表・ロゴは転載せず、要点を再構成して論評します(出典は記事末尾)。
1. 欧州勢:L2運転支援が「都市部・ナビ連動」へ
Mercedes-Benz は CES 2026(2026年1月)で 「MB.DRIVE ASSIST PRO」 を公開しました。SAE レベル2 の運転支援にナビゲーションを統合し、都市部を含めて出発地から目的地までボタン操作で支援する、という方向性です(ドライバーが常に運転責任を持つ点は維持)。新型 CLA では カメラ10・超音波センサ12・レーダー5 を Nvidia の中央演算ユニットに集約する構成と報じられています。
あわせて BMW は、Qualcomm と共同開発した ADAS を他の自動車メーカーへ供与する動き(顧客獲得)を CES 2026 で示しました。自社専用だった運転支援を 共通プラットフォーム化 し、外販していく流れです。
論評:センサ「量」より、統合と責任分界
MB.DRIVE ASSIST PRO の「カメラ10/超音波12/レーダー5」という数字は派手ですが、本質は 多数のセンサを中央演算で束ね、都市部という難所まで支援範囲を広げた ことにあります。どの方向に何方式を置くか――という構成の話は、本サイトがベンチマークで可視化しているテーマそのものです。一方で L2 である以上 責任はドライバー にあり、「支援範囲の拡大」と「過信の防止」をどう両立するかが引き続き論点になります(介入リスクの構造)。BMW×Qualcomm の外販は、ADAS が 垂直統合から水平分業へ 移る兆しで、今後は「どのメーカーが」より「どの基盤を積むか」で性能を見る視点も要りそうです。
2. 国内:軽・商用クラスにも「交差点・横断自転車」の検知が降りてきた
スバル は2026年、軽商用車 「サンバートラック」(3月26日) と 「サンバーバン」(6月11日) の一部改良で、予防安全 「スマートアシスト」 を拡充しました。公表されている主な追加点は次のとおりです。
- 前方車両(二輪車・自転車を含む)・歩行者に加え、「横断中の自転車」も検知
- 交差点で、右折時に直進してくる対向車、右左折時に対向方向から横断してくる歩行者 を検知する機能を新規追加
論評:アセスメントの「交差点シナリオ」が市販車へ波及している
注目したいのは、この追加機能が 規格動向で整理した JNCAP の交差点系シナリオ(右折時の対向直進車=右直、右左折時の横断歩行者、横断自転車)と そのまま対応している 点です。Euro NCAP が2020年・JNCAP が2024年に評価へ導入した交差点シナリオが、いまや 軽商用車クラスの市販装備にまで降りてきた ことを示す好例と言えます。交差点・出会い頭は「横から来る」ぶん検知の幾何が難しく(検知に必要な距離・角度)、低コストが要求される軽商用でこれを実装してきたことは、センサ・ソフトの低廉化が進んだ証左でもあります。なお同クラスでは他社(マツダ・スズキ等)でも先進安全の強化が相次いでいます(個別の諸元は各社公式で要確認)。
本記事の事実関係は記事末尾の出典で確認したものです。各社のプレスリリース・資料の文章や図表・ロゴは転載していません。Mercedes/BMW の項目は CES 2026 時点の発表に基づき、製品名・仕様は今後変わり得ます。日付・数値は確認日(2026-06-17)時点のものです。